よくある質問

VENUS はどのような計算をしているのですか?

本システムは気象計算と大気汚染計算の二つのサブシステムで構成されています。 まず、気象計算システムは、米国海洋大気庁の数値予報データ(NCEP)を基に、 7日間の風、気温、気圧、水蒸気量等を計算します。続いてそれらの気象データを 基に、大気汚染計算システムで光化学オキシダント、微小粒子状物質(PM2.5)の 濃度を計算します。その際には、大気汚染発生量データを用い、反応、輸送、拡散、 地表面等への沈着などの効果を含めて計算しています。

計算領域は、東アジア域、拡大日本域、主要日本域を対象としており、東アジア域の 計算結果は拡大日本域の、拡大日本域の計算結果は主要日本域の計算条件として 使用しています。このように計算することによって、日本での計算において、 アジア大陸からの長距離輸送の影響を考慮することができます。コンピュータの中で、 東アジア域は45km、拡大日本域は15km、主要日本域は5kmの大きさで区切られた 正方形毎に、汚染物質の挙動を表現した方程式を用いて計算しています。

本システムは、国立環境研究所が、全国の地方環境研究所や電力中央研究所などとの 共同研究によって開発したもので、2014年度以降は環境省の予算的支援を受けています。

発生量データには、リアルな数値をどの程度与えているのですか?

「どこから、どのような汚染物質が、どれだけ発生しているか」を示すデータ(発生量データ)として、 リアルタイムの実測値ではなく、過去のある時点で算出された推計値を用いています。 推計方法は発生源の種類(自動車、工場、植物等)によって異なります。 近年の詳細な観測データが存在する発生源に対してはなるべくその発生量データを使い、 存在しない発生源に対してはエネルギー消費量等から見積もった総発生量を 人口等のデータに応じて配分するなどの方法で発生量を推定します。 各種発生源から出る発生量を汚染物質の種類ごとに足し合わせた発生量データを、 VENUSの入力データとして与えています。

季節による発生量の変動は概ね全ての発生源について考慮されていますが、それ以外の、

  • 週内変動(曜日や平日・休日等による違い)
  • 日内変動(昼夜等の時間帯による違い)

については考慮されていない発生源もあります。また、

  • 火山噴火、山火事などの突発的な自然現象
  • 野焼きなどの不定期な人間活動

などは現時点では考慮されていません。

今後、よりリアルな発生源データを与えることができるよう、研究と開発を続けていきます。

VENUS の予測は当たりますか?

当たるときと、当たらないときがあります。 どのような条件のときに精度の良い予測ができているのか、 も含めて研究を進めています。

VENUSウェブサイトでは、VENUS予測値とそらまめ君実測値を比較できるよう、 都道府県別時系列グラフを掲載していますので、実際に見比べてみて下さい。

VENUS 開発チームは、シミュレーション計算の精度を一層高めるべく 奮闘を続けております。今後の研究開発にご期待ください。

VENUS の予測結果をどのように活用すればいいですか?

「時間の経過に伴って、汚染濃度(地図上の色)がどのように変化するか」を確認することによって、 今後、濃度が高くなりそうか、高濃度が継続するのか、低下しそうか等を知ることができます。

また、東アジアスケールで確認することによって、今後、 アジア大陸からの越境汚染の影響が大きくなりそうか等を知ることができます。

VENUS の計算スケジュールは?

毎日、朝6時ごろまでに4日間分の計算と作図が完了するようにスケジュールを組んでいます。7日間全てが表示されるまで、その後、数時間のタイムラグが発生する場合があります。

ときどきデータがない日がある。

スーパーコンピュータのシミュレーション計算が計算不安定を起こし、 途中で止まってしまうことがあります。これについては、 計算の安定化のために計算プログラムの改良に努めているところです。

また、研究所の停電時など、外部的要因で計算ができない日があります。 このような場合は、計算が実行可能になり次第、なるべくすみやかに 再開するように心がけています。

これらの「データがない日」をできる限りなくすべく、今後も工夫を重ねていきます。

伊豆諸島の時系列グラフにそらまめ君の線がない。

現在、伊豆諸島にはそらまめ君の測定局がひとつも存在しないため、 時系列グラフに描くことができません。

今後の展望は?

予測精度の向上、利用しやすいインターフェイスの工夫、 オープンデータ対応、などをより一層進めていきたいと考えています。

VENUS の予測結果を使いたい!

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